時間の流れを変えるもの

 

ドラえもんのひみつ道具に、「タイムライト」というものがある。
時間の流れが目に見えるようになる、たいまつみたいな道具だ。

『「時」はごうごう流れる』という回で登場したもので、用事がたくさんあるのに昼寝をして、時間を無駄にしたのび太に、時間の大切さをわからせるため、ドラえもんが出したものだ。

そう、時間はごうごう流れていて、しかもその流れは大人になるにつれて、どんどんどんどん早くなっていくのだ。
タイムライトを使ってのび太は時間の流れを実感したけど、それがなくったって、ほんとにごうごう流れていってるなあと思う。
しかし、その時間の流れがピタっととまり、そしてゆっくりになった時期があった。
初めて子供が生まれた時だ。

子供が生まれてからの1年、とくに最初の3か月は、ほんとうに全然時間が進まなかった。
毎日指折り、生まれてから15日目、1カ月、やっとこさ2カ月!と数えていた。
振り返るとあっという間なだけど、渦中、全くもって時間がゆっくり進むことにびっくりした。

タイムライトで時間の大切さを実感したのび太は「むだ時間とりもどしポンプ」を出してもらい、無事用事をすべて済ませた。
赤ちゃんもこれまで早くなりすぎた時間の流れを、ゆっくりに戻してくれる存在なのかもしれない。

とりもどした時間を使ってすべての用事を済ませたこと素直に喜ぶドラえもんを尻目に、「こんな時のためにむだ時間を作っておかなきゃ」とのび太はまた昼寝を始める、というオチがつく。

赤ちゃんが時間をゆっくりに戻してくれるのも、一人目の最初の数ヶ月限定というオチがこちらにもつく。
歩き始めるぐらいからは、また風のように一日が過ぎ、2人めが生まれると嵐のように時間がすぎていくのです。

(麻衣)