助産所のはじまり

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「助産所」を開こう。
そんな大それたことを思い始めたのは、つとめいた助産所がなくなることが決まったときでした。

今まで、この助産所に来ていた人たちはどうなるんだろう。自分ができることは何?少しずつ片付けられていく助産所を眺めながら、何度も何度も問いかけました。

助産師は、10年経ってもまだ新人、30年経ってやっと半人前、50年でようやく一人前、最後目を閉じるそのときまで生涯現役。というイメージの私にとって、開業とは本当に大きなハードルでした。

けれども、四人の幼い子を抱えて私が選択できる道は限られていました。長時間勤務は無理。夜勤は無理。子どもたちと私、そして家族との時間も大切にしたい。

「助産所をひらく」、それは「助産師」を続けるにはその選択しかなかったのです。けれど、同時に「開業すれば今まで届かなかった所にもケアを運べる。」そんな希望と期待もありました。
私の助産師としての技術は、まだまだ半人前以下。それでも今、自分ができることを少しづつ形にできています。

小山助産所を開いて四年。訪問のみから始まったケアは、今では場所を授かり多くの人にケアを届けられるようになりました。

小山助産所を導いた不思議な縁。その縁が重なりあって今があります。いただいた縁をまたつないでいけるよう精進する身でありたいと願っています。

(千里)